彫金製作で使う道具:その2

ロウ

ロウ付けに欠かせない道具。
ロウ

ゴールド同士をロウ付けする時は金ロウで、シルバーは銀ロウ、プラチナはPロウと、それぞれ専用のロウを使います。

ロウは、貴金属(金、銀、プラチナ)に少し不純物を混ぜて融点を下げているので、 高温で加熱すると地金よりも先に融けます。

で、融けたロウが毛管現象によって接合部分に入り込み、地金同士をくっつけるというわけです。

接合箇所の隙間が狭いほどロウが入りやすいので、ロウ付け箇所のすり合わせが重要となります。

すり合わせをしっかりしておくと、仕上がりもキレイになります。

銀ロウの場合は、混じっている不純物が少ない順に2分、3分、5分、7分、9分、早ロウとなっていて、 融点の一番高いのが2分、低いのが早ロウです。

これらを使い分けることで、複数の箇所をロウ付けすることができます。

ロウに入っている不純物は、加熱を繰り返すと地金を「喰う(侵食する)」ので、ロウ付け作業は手際よく迅速に。

ロウは小さく切っても見分けがつくように、種類別にマジックなどを塗って色分けしておくとよいでしょう。

金冠ばさみ

ロウ材や、厚みのごく薄い地金などを切るのに使います。
金冠ばさみ

買った状態では刃がついておらず、切れ味が悪いので、グラインダーや砥石などを使って刃先を砥いでおきましょう。

金切りばさみや、ロウ切りばさみともいわれます。

ヘラ

「ヘラがけ」という工程で使う鋼鉄製の棒です。断面の形状は円と楕円があります。
ヘラ

ヘラがけとは、耐水ペーパーなどの磨き目をならし、鏡面仕上げにする工程のことです。

磨き目にヘラをこすりつけると、地金の表面が滑らかになり、鏡面のような光沢が出てきます。

ヘラを使って鏡面仕上げにすると、バフでの仕上げとはまた違ったエッジの利いた仕上がりになりますし、地金の表面が締まって硬くなり傷が付きにくくなるという利点もあります。

ヘラ先に傷がついていると、鏡面にならないので、こまめに磨いておくようにしましょう。 (傷がついていたら、青棒などの研磨剤を塗った板に、ヘラを擦り付けるように押し当てて磨く。)

ヘラの基本的な持ち方は、机の上に横向きに置いたヘラの先を親指と人差し指でつまむようにして持ち上げます。 それから、ヘラの柄の後ろ部分を薬指と小指の間にしっかり挟んで持ちます。

こうして持つとブレないので、しっかりヘラがけができます。 かける時は、先の尖った部分で地金を傷つけないように気をつけましょう。

※ロウ付けとは

金属同士を接合する技術。(イメージとしては「溶接」が近いかな?)

ポイントとしては、

・毛管現象を利用してロウを流し込むので、すり合わせをしっかりとすること。

・ロウ付け箇所には、酸化防止剤(フラックス)を塗る。 (バーナー加熱で、地金の表面に酸化皮膜が出来るとロウが流れないので、それの防止策。)

・母材(本体)の加熱を十分にすること。 (しかし、高温過ぎると地金が融けたり、火むら=ファイヤースケールが出るので注意。)

・時間をかけすぎるとロウが枯れてしまうことがあるので、作業は迅速に。

・複数のロウを使う場合は、融点の高いロウ→融点の低いロウの順に使っていく。 (逆だと、加熱した時に、低い融点のロウが融け、せっかくロウ付けした所がズレてしまう。 止むおえない場合は、熱が回らないようにバーナーの火力を調節するか、ズレないようカラゲ線(鉄線)で固定する。)

・銀地金のロウ付けは結構難しいので注意が必要。 (銀は熱伝導率が大きく、細いところや小さいパーツに熱が集中するので、 全体的に熱が行き渡るように加熱し、その後、ロウ付け部分にガスバーナーの火を絞るようにする。)

・ロウ付けした所は、他の部分に比べて強度が幾分弱くなっているので気をつける。

・最初は、銅板などの安い材料を使って練習し、ロウ付けの感じを掴むようにするとよい。

・ガスバーナーの火加減や、当て具合などを調節したり、地金の色の変化に気を配る。

ロウ付けの方法には、ロウ付け箇所に先にロウを置いてからバーナーで加熱する 「置きロウ」と、先にロウ付け箇所を加熱しておいて、そこに後からロウを差す「差しロウ」があります。

置きロウは、ロウと母材の温度が一緒に上がるのでバーナーの温度調節に意識を集中出来ますが、 加熱によってロウがズレたり思わぬところにロウが流れたりすることがあります。

それに対して差しロウは、ロウ付け箇所にピンポイントでロウを差しやすいですが、 ロウ自体の温度が上がりにくかったり、 ロウにばかり気をとられているとバーナーの操作がおろそかになる、という注意点があります。

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