さんまの開きを使って作った秋刀魚寿司。

正月に更新した記事で触れたサンマ寿司。あれ、覚えてる人いますかね? あの秋刀魚寿司の作り方を知りたいという方がいらっしゃったので、今回はそれをブログのネタにしたいと思います。

「さんま寿司のレシピを教えてくれ」という問い合わせ自体は、正月休みが明けた直後くらいにいただいてたんですが、 なかなかサンマの安売りに出くわさなかったもんで、こんな時期になってしまいました^^;

今回の秋刀魚寿司に使うのは、スーパーで売っているサンマの開き。別段変わったところもない、普通の干物です。 通常価格の半額になってたので、まとめ買いしてきました。 いつもはそのまま焼いて食べるのですが、今回はお寿司にしてみたいと思います。

母の実家から送ってもらう秋刀魚を使うのがベストなんですが、あいにく我が家の周辺では手に入らないので、 近所で売っているサンマの開きを使うことにしました。

普通の干物でもさんま寿司が作れるとなれば、正月以外でも好きな時に秋刀魚寿司を食べれるってことになりますなぁ。 年間を通じてサンマ寿司が食べれるかどうかは、この結果にかかってるってことやね。 さんま寿司好きの我が家にとって、これは結構重要な問題かもしれん。心してかからねばいかんですな。

ちなみに、母の実家近辺では、 さんま寿司専用の秋刀魚(生サンマを背開きにして、塩でシメたもの。通称「つぼぎり」というそうな。)が売っているとのこと。 「さんま寿司には、つぼぎりのサンマを使うのが一番エエんやで。」と言ってました。 おそらく「つぼぎり」とは、 「つぼ抜き」や「エラ抜き」(魚の内臓を取ったり、ごく簡単な下ごしらえをすること。)と同じような意味かと思われます。

秋刀魚寿司を作る時は、その「つぼぎりサンマ」を水に浸け、塩抜きしてから使うんだそうな。 専用さんまは干していないようなので、干物の部類には入らないのかな?(干物というよりも塩漬けに近い感じ?)

母の話によると、地元で売っている寿司専用のサンマは、今回買った干物みたくカチカチな状態ではないそうです。 半乾きというか、半熟というか、身が少し「レアな状態」になっているとのこと。 酢飯を巻きやすいようにそうしているんですかね?細かいことは、作ってる人に聞かんとようワカランです。

秋刀魚寿司の作り方

さんまの塩抜きをする

買ってきたままのサンマの開きは、身が硬くて酢飯を巻くことができないので、一晩ほど水に浸けておきます。 (時間にすると、約15時間前後といったところでしょうか。)この作業は塩抜きも兼ねています。
塩抜き中のさんま

この秋刀魚は脂が多めですね。水の表面にたくさんの脂が浮いてきてます。正月用に使ういつものサンマは、さほど脂は出ないそうです。 産地や獲れる季節によって、さんまの状態も違うのかな?この秋刀魚は、パッケージに北海道産と書いてありました。

さんまを浸けている水は途中で何回か換えます。今回は脂の多いサンマを使ったので、水換えをいつもより多めにしました。

秋刀魚寿司のマメ知識と、それにまつわる思い出

母によると、さんま寿司は和歌山沿岸や奈良南部あたりで頻繁に食べられているらしいです。 お祭りや、お祝いの時に食べることが多い郷土料理だそうな。 おそらく、海で獲れた秋刀魚を冬にも食べられるよう保存食化したものが発祥なんでしょうね。

このお寿司はサンマだけでなく、鯖バージョンもあるそうです。 鯖バージョンのお寿司は、サバの脂がのっている秋に作って食べると美味しいとのこと。

母の実家では、お正月前にサンマ寿司を山のようにこしらえて、作りおきするのが年末の恒例行事だったそうです。 お正月の間は、大量に作ったその秋刀魚寿司をご飯代わりに食べていたとか。

我が家では基本的に、さんま寿司を焼いて食べます(その方が美味しく感じるので。)が、 母の実家ではそのまま食べることが多かったそうです。(ただし、日数が経過し、熟成が進んだものは焼いて食べる。)

母が小さい頃は、今回作ったような普通の秋刀魚寿司と、 麹(こうじ)を入れて作った「なれ寿司」バージョンの2種類を作っていたそうです。(現在作っているのは普通のサンマ寿司のみ。)

子供の頃の母は、なれ寿司独特の発酵した匂いが嫌いだったようで、なれたサンマ寿司は食べられなかったとのこと。 (珍味と言われるものの中でも、なれ寿司や鮒寿司は特に匂いがキツイですからねぇ。子供は特に嫌がりそう。 私もそういう類のものはちょっと苦手です。)

お酒好きの人は、発酵させたさんま寿司を好むみたいですね。麹入りの秋刀魚寿司を肴に一杯やるのがお正月の楽しみだったようです。

さんまの骨をとる

さて、それではサンマ寿司の作り方に戻るとしましょう。秋刀魚の塩抜きが終わったら、次は骨を取る作業です。 さんま寿司を作る時に最も手間がかかるのは、この骨取り作業かと思われます。

水に浸けておいた秋刀魚を取り出し、軽く水気を切った後、開いた面を上にします。
塩抜きしたさんま

骨を取る時は、一番太い背骨(画像の青で囲った部分)から取り始めます。
これからさんまの背骨をとります

尾びれの根元に近い部分をポキッと折り、身から背骨を取り外します。このように持つとやりやすいでしょう。
さんまの背骨の取りかた
力任せにすると、骨と一緒に身までとれてしまうので、作業は慎重に。 ある程度、身が剥がれるのは仕方ないですが、あまりにたくさん剥いでしまうと食べるところが無くなります^^;

身が剥がれないよう、押さえながら骨を取るようにして下さい。そうすればうまくいきやすいと思います。 途中経過はこんな感じです。
さんまの背骨を取り外し中
頭の付け根まで到達したらポキッと折り、背骨の部分を取り外して下さい。

背骨をとったら、あとは残りの細かい骨です。背骨に隣接する小骨と、お腹周りの骨を全て取ります。 青いラインで描いた部分です。ここの骨は、全部残らず取って下さい。
背骨を取ったさんま
この箇所の骨が取れていないと、お寿司にして食べた時の感触が良くないです。(骨が口の中に残る。)

ヒレの下や、縁の周辺にある小骨(赤で描いた部分)など、青いライン以外のところにある小骨は、残っていても支障ありません。 下手に取ってしまうと秋刀魚の形が崩れてしまいますし、身もグズグズになってしまうので、取らない方がいいでしょう。

背骨があったあたりをよく観察すると、青っぽいポツポツとしたものが見つかると思います。それが骨の付け根です。 これからそれを取っていくわけですな。けっこう根気の要る作業なので、気合を入れてとりかかりましょう。 ここからの作業は、魚用の骨抜きを使って行います。

お腹周り(青い線で囲った内側の部分)は、身が剥がれやすいので注意して下さい。 骨をまとめて取ろうとすると、身が根こそぎ剥がれてしまいます。一本ずつ確実に取るようにして下さい。

小骨をとる時の様子はこんな感じです。
さんまの小骨をとっているところ
めちゃめちゃ地味な作業なんで、飽きっぽい人は嫌になるかもしれません^^;

一通り骨を取り終わったら、頭から尾の方に向かって指でなぞってみて下さい。 まだ骨が残っていれば、指に当たる感触で分かるはずです。骨を取り去った秋刀魚はこんな感じになります。
小骨を取った後のさんま

今回買ったサンマは脂が多かった(=身がやわらかい)ので、少し苦労しました。 最初は難しいかもしれませんが、やっているうちに、とりやすい方向やコツなどが分かってくると思います。

骨を取ったさんまは、甘酢(砂糖と酢を1:1で混ぜたもの)に浸けておきます。水は混ぜないで下さい。 水を入れると日持ちしなくなってしまいます。
甘酢浸けのさんま
だいたい半日(8〜9時間くらい?)ほど、このままにしておきます。

さんまと酢飯を合わせる

これが我が家のサンマ寿司セットです。
さんま寿司に使うセット一式
画像の左隅に写っているのは、柚子の皮をすりおろしたものです。ちょっとした風味付けですね。 さんま寿司のサッパリとした味に、柚子の爽やかな香りがよく合うんですよ〜。

酢飯は各家庭のお好みで良いと思います。うちの寿司酢の配合は、大さじ4杯の酢と、大さじ4杯半の砂糖、それに小さじ2杯の塩です。 これを火にかけ、砂糖を溶かした後、三合の炊きたてゴハンに合わせます。今回はちょっと甘めの酢飯になったようです。 (普段はやや酸っぱい感じに作ることが多い。)あと、すり鉢で擂(す)った煎りゴマも加えてます。

さんま寿司を巻く時の手順

浸けておいたサンマを甘酢から取り出し、ギュッと絞って水気を切ります。(身を潰さないように。) 巻き簾(まきす)の上に秋刀魚を乗せ、真ん中のラインにすりおろした柚子を塗ります。
巻き簾に乗ったさんま

棒状に整えた酢飯を、柚子の上へ盛りつけたら、巻き簾でしっかりと締めます。
さんまに酢飯を乗せる 巻き簾を持ち上げて巻く 巻き簾を使ってしっかりとしめる

巻き簾を上手に使って形を整えたら、崩さないようにそっと持ち上げます。 酢飯が巻き簾に貼りついて剥がしづらいことが多いので注意しましょう。
巻き終わったさんま寿司
完成したサンマ寿司がこちら。お正月に食べている、いつもの秋刀魚寿司より大きいです。
お皿に並んださんま寿司

全部で6匹分のサンマ寿司を仕込みました。使った酢飯は約二合分くらいです。
6匹分のさんま寿司
大きいさんまだったので多めに酢飯を作ったんですが、結局最後余っちゃいました。残りの酢飯はおにぎりして食べます。 出来上がった秋刀魚寿司は、形を安定させるため、冷蔵庫で一晩ほど寝かせます。

自家製のさんま寿司を食べてみよう

食べやすい大きさに切り分けたサンマ寿司をアルミホイルに乗せ、オーブンに入れて焼きます。 (焼かずにそのまま食べてもいいんですが、今回作ったさんま寿司はコッテリと脂がのっているので、 生のまま食べるとクドイかもしれません。)

さんまの表面が好みの焼き色になったら、オーブンから取り出し、お皿に盛りつけましょう。
焼き上がったさんま寿司
脂がのってるので表面がツヤツヤしてます。
さんま寿司のアップ

お正月に食べているサンマ寿司に比べると、脂が多く身が柔らかいです。 でも、脂がのってるわりには、なんだか旨みが少ないんですよねぇ…。 さんまのエキスがまだ凝縮しきっていないように思います。

酢飯がいつもより甘いから、そう感じるのかな?そういう問題じゃないんかな?とにかく何かが物足りないんですよね〜。

これはこれで、それなりには美味しいんだけど、 本場のサンマで作ったお寿司をいつも食べているだけに、私としてはどうしても落差を感じてしまうなぁ^^;

やっぱり本場の味にはかなわないってことですかね。残念というか、悔しいというか、何か複雑な気分です。 まあでも、今回の記事は色々と勉強になることが多かったので、そういう点では満足です。

今回のサンマ寿司、私的には少し物足りなかったですが、味の好みは人それぞれなので、これが好きな人もいるかもしれません。 作るのに手間と時間はかかりますが、興味のある人は試してみて下さい。

さんまの味付けや処理、ご飯に混ぜ込むもの、一緒に添えるトッピングなどなど、 色々と工夫すれば、もっと美味しいサンマ寿司が出来るかもしれませんね。 さんま以外の魚を使ったり、自分好みの味を追及するのも面白いかと思います。

甘酢浸けの秋刀魚と酢飯の組み合わせなので、けっこう日持ちします。一度にまとめて作って、少しづつ食べるのがオススメです。 冷蔵庫に入れておけば、4〜5日ぐらい(冬季が基準)は保存がきくと思います。

作りたての秋刀魚寿司と、ある程度の日数を経たサンマ寿司では、味わいがまた少し違ってくるので、それを楽しむのも良いでしょう。 私は、最後の方に食べるさんま寿司が好きかな。水分が少なくなった分、旨みが増してるような気がするので。 (単なる思い込みかもしれませんが^^;)あと、こんがり焼いてカリカリになった尾びれの部分も好きです。

追記

色々と調べたところによると、さんま寿司用として売られている秋刀魚は、熊野灘あたりで水揚げされるものを使っているそうです。 北海道や三陸あたりにいるサンマは、南へ下ってくるうちに脂分がかなり落ちるみたいですね。 潮で揉まれながら長距離を移動するため、熊野灘や紀伊半島あたりまで下ってきた時には、だいぶ身が引き締まり、 体型もスリムになっているとのこと。

つまり、痩せ細った秋刀魚を美味しく食べるために考え出されたのが、このサンマ寿司というわけですな。 適材適所というか、同じ魚でもその土地ごとによって、美味しい食べ方や調理法というのがちゃんと確立されているんですねぇ。 いやはや、先人の知恵というのは学ぶところが多いです。

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